誰でもできるFCRかんたんセッティング


ここではFCRを超簡単にセッティングします。
なるべくお金をかけず(ジェットを買わず)に済ませます。
やや高価で交換が面倒なニードルは1本に固定する為にベストのおよそ8~9割までしか合わせられない事をご承知ください。

セッティング基礎


青:パイロットスクリュー
緑:スロージェット(スローエアーと重複)
黄:ジェットニードル(ストレート径、テーパー、切り上がり)
赤:メインジェット

FCRのセッティングには上記の4部品を調整します。
(バルブシートやメインエアジェットは素人では効果が分かりにくい。プロ用)

ケーヒン純正メインジェット 1個¥360
ケーヒン純正スロージェット 1個¥300
ケーヒン純正ニードル 1個¥650

基本的な基礎知識として#番が上がれば穴が大きくなります。ガソリンを通すジェットなら濃くなります。空気を通すジェットなら薄くなります。

エアスクリューとパイロットスクリューの回す方向を間違えないように。

エアスクリューは空気の通り道。
戻す(開ける)と空気が沢山入ります。薄くなる。
パイロットスクリューはガソリンの通り道。
戻す(開ける)とガソリンが沢山入ります。濃くなる。

①基本設定に戻す

既に泥沼化で番手が分からなくなってる人も一度SR用データを使ってみて下さい。

MJ(メインジェット):#160
SJ(スロージェット):#55
JN(ジェットニードル):0CEMS
JNP(ニードルポジション):4段目/7(真ん中)
AS(エアスクリュー):1回転戻し
PS(パイロットスクリュー):1回転戻し
DATA by FCR39(WM)

キック(コールドスタート*)しても基本設定でエンジンがかからない人は
エアスクリューを調整してかけます。

コールドスタート(コールドキック)とは
空キックをすることでシリンダー内を換気してキャブレターからのガスを点火しやすい状態へもっていきます。やり方は鍵OFF状態でデコンプを握ったままスロットル全開で5~10回ほど空キックをした後、通常の点火キックをする。またエンジンオイルを循環させる意味もあるので冬場での「効果はバツグンだ!」。
全閉→半回転→1回転→1回転半→…半分ずつ回してとにかくエンジンをかけます。
ファンネルでも直管でもSR500でもまともなFCRであればまずかかるはずです。極端にかかりにくい時は取り付け不良(二次エア)を疑った方がいいかもしれません。
二次エアチェック(中級)
エンジンコンディショナーをマニホールドやスピゴット等、空気が漏れていると思しき箇所へ吹きかける。回転数が突然変化(だいたい激落または止まる)すれば空気を吸っている箇所を特定できます。
*キャブクリーナーやバーツクリーナーでは樹脂(プラスチック、ゴム類)を侵すので攻撃性の低いエンジンコンディショナーで(それでもちゃんと拭き取ってください)

②スロージェットとエアスクリューを決める

アイドリングを2000に固定します。
ASを1/4(90度)ずつ開け閉めして一番高回転な位置を探ります。
全閉が高回転→SJが薄すぎです#58(または#60)に交換します。
高回転が2回転戻し以上→SJが濃すぎです#52(または#50)に交換します。
これを繰り返してASが半戻し~1回転半戻しに収まるようにSJを交換します。
最後にASを少しだけ(1/8ほど)閉めてアイドル1300にして終了です。(焼き付き予防策です)

③ニードルと段数を決める

0CEMS、1本でいく。交換も段数変更もめんどくさいし触らない。

もうひと手間(中級)

N427-0CEMS

橙:テーパー1/4~3/4 薄D<E<F濃
黄:切り上がり(段数と重複)1/4~2/4 濃L>M>N薄
黄緑:ストレート径開け始め~1/4 濃R>S>T薄

*切り上がりM→L(+15%、濃くなる)はクリップ1段下げ(+15%、ニードルを短くする)に相当する。

切り上がりは段数と重複しておりクリップ段を超えてしまう時に初めて用意するものなのでM固定で十分かと。
テーパーは図でこそ1/4~3/4になっていますが4/4開度にまでわたって影響を及ぼすので注意が必要です。
中級では段数調整のみ。必要であれば冬用にストレート径R針があるぐらいでいいと思います。

超簡易版 スト径決定

とにかくパイロット1戻しを基準としてエアー1戻し目指す。
スローを濃くすればアイドリングも濃くなる訳で逆調整を補正する。

例)エア半戻し、パイロット半戻し。
対処:ストレート径を濃くするS→R

例)エア2戻し、パイロット2戻し。
対処:ストレート径を薄くするS→T

超簡易版 段数決定

上から1段目または2段目薄目(針を長く)からスタート。
エンジンをかけて(冷たいうちに)すぐにスロットルを開ける。
開け始め(開度1/4あたり)で「パシュー」とか「クシュ」と鳴る(薄すぎる)。
この音が無くなるまで段数を下げて濃くする(針を短くする)。
(注:エンジンが温まってしまうと割と薄くても回ってしまうので時間を空けてやる)

④メインを決める

5速で高速道路を私有地をフルスロットルで爆走する。(おそらく160kmhぐらい)
(*以前に1速2速でと記述しましたが開度の途中でリミットに到達するのであまり意味がありませんでした。)
最高速度を記憶して#162に変えて再度最高速度チェック。
(*濃い薄いが分からない時は常に濃い方から!薄過ぎは焼き付けを起こします。)
速度が上がった→まだ薄いかも。#165、#168と頭打ちまで交換します。
速度が下がった→濃すぎです。#158、#155と頭打ち手前まで交換します。

⑤パイロットスクリューを決める

半回転戻しからエンジンブレーキをかけてアフターファイアがパンパン鳴らなくまで90度ずつ開けていきます。
2回転半以上はスクリュー脱落の危険です。
AS(エアースクリュー)を少しだけ閉めるかSJ(スロージェット)をひとつ上げる必要があります。
ベストな状態でもアフターファイアが完全に消える訳ではないのであとは乗り味とパイロットスクリューを決める2を参考に。

*パイロットスクリューを決める2。

アイドリングを1000に固定します。
PSを全閉から1/4(90度)ずつ開けていき一番高回転な位置を探ります。
最後にPSを少しだけ(1/8ほど)開けアイドル1300にして終了です。

⑥加速ポンプタイミング

アイドリング時に加速ポンプのプッシュロッドがダイヤフラムに触れてしまうとアイドリングが安定しません。また、あまり開け始めギリギリを狙ってもちょっとしたアイドリング調整で触れてしまうので注意。

⑦季節に合わせたセッティング

交換めんどくさいし触らない。スローだけエアーで調整。

もうひと手間(中級)
春&秋を標準として夏用(薄め)と冬用(濃いめ)の3種類を用意します。(例)↓
冬用 MJ:#162 SJ:#58 JNP:5段目
春秋 MJ:#160 SJ:#55 JNP:4段目
夏用 MJ:#158 SJ:#52 JNP:3段目
*替えれば必ず良くなる訳ではなく吸排気の組み合わせ次第ではMJだけ(SJだけ)変更といったセッティングもあり得ます。1年を通してデータを取り、パターンとして3つ用意しましょう。
ゆきし流のかなり簡略したセッティングなのでガチのセッティング出したい方は空燃比計を買うかお店にお願いして下さい。



(2019年2月)キースターさんからFCR用キットが発売されました。

はじめからニードルが4本入ってますので乗り比べてみるのもいいかもしれません。また、メインジェット類がケーヒン純正ではありえない番号(149や154)が入っているので微調整をしたい玄人にも使えるやもしれません。

(*KeySter様より写真のご提供ありがとうございます。許可を頂いた上で透かしを入れております。)
特に正式には非分解部分である筐体内部のパッキンが付属しております。
ヤフオク中古キャブレターのリペアにはちょうどいいかも。(たぶんグリスが一番高い)

コメント

  1. teru より:

    貴方の情報により無事FCR35を装着でき走りは快調です、有難うございました。しかし、停車後の再スタートでガソリンがうまく回らないようでエンジンがかかるまで苦労してます。ガソリンコッコが負圧の場合、インシュレータを負圧式に変えないとダメなのでしょうか。

    • ユキシ より:

      teruさんコメントありがとうございます。FCRでの再スタートが不調とのことですが、文面だけで察するにスローが合ってない様に思われます。再スタート前に空キックで換気する等して様子を見てスローを再調整(エンジンが熱いと濃くなる)してみてください。コックは負圧式のままでも問題ありません。ただしPREでしかガスが出ない上にリザーブが使えないので落下式の方がオススメです。

  2. teru より:

    ご連絡ありがとございます。インシュレータを負圧式にかえれ解消されますか?昨夜コックを0Nにしたままにして、本日エンジンをかけたら一発手かかりました。

    • ユキシ より:

      検討違いの回答で失礼しました。負圧コックに対するインマニはどちらでも構わないと思います。先に申し上げた通り負圧コックのリザーブを生かすか殺すかの違いなので。
      個人的には二次エアの起因のなる箇所を増やすよりシンプルにボアエースインマニ+落下コックが良いと思います。

      • teru より:

        ご回答ありがとございます。燃費が落ちていると思い増すのでリザーブを活かしマニーホルドをつけたいと思います。ファンネルのカバーはした方がよいのですか?

        • ユキシ より:

          個々人の乗り方(極論、パワーをとるか寿命をとるか)に寄るのではないでしょうか。ソックスにせよ網にせよ付ければ必ずパワーは落ちるので。
          私は普段ソックス、ツーリング時に直キャブで使い分け(ジェット替)してます。

  3. teru より:

    大変参考になります、ご連絡ありがとうございました。
    これから藻参考にさせていただきます。

  4. すけ より:

    初めまして。
    スローとエアスクリュー調整の際アイドリングを2000回転に合わせるとありますが、初期番手のスローだとアイドルスクリューをいっぱいに回しても1300回転ぐらいにしか上がりません。
    スローが濃すぎるんでしょうか…

    • ユキシ より:

      すけさん、コメントありがとうございます。
      ひとまず回転数は1300でも構いません。要は「開度」が重要です。ある程度アイドリング域からやや上の開度(パイロットの影響を受けにくい)でしたら回転数は幾つでも大丈夫です。アイドルスクリューでなくともスロットルが固定出来るのであればそちらでもOKです。目安さえつければ、そこから濃い薄いへ降ればいいだけです。
      「アイドリング域より上」という作業もエアー調整の割と詰めの段階なので、単純にスローの番手模索でしたらアイドリング域でもいいと思います。
      お力になれれば幸いです。

  5. すけ より:

    早い返答ありがとうございます。
    スローの番手は初期の55で、エンジンはかかりますがすごくかかりにくい状況です。
    エアスクリューを閉めていくとエンスト。 エアスクリュー2回転戻し、アイドルスクリューはいっぱいまで回して1300回転程になりました。
    2回転以上戻して回転数が上がるようだったら濃ゆいと判断してもいいのでしょうか?
    スローが濃ゆいとエンジンがかかりにくい状況になったりしますか?
    車両はsr400 FCR39を取り付けました。

    • ユキシ より:

      そうです。「より多くのエアーを取り込んで回転数が上がる」ということは、現状が「濃い」ということになります。

  6. すけ より:

    返信ありがとうこざいます!
    勉強になりました!

  7. まっぴ より:

    fcr37をsr400に取り付けしているのですが
    37用の初期値とかもし把握していましたら教えていただけないでしょうか?

    • ユキシ より:

      手元にある単気筒用だと2種あるみたいですね。
      FCR37(S10) MJ170 SJ48 AJ200 0CEMR(3/7)
      FCR37(S57) MJ155 SJ55 AJ200 0CEHL(4/7)
      汎用初期出荷データですがどちらもSRには少し合わないと思います。

      FCR39(S20) MJ160 SJ55 AJ200 0CEMS(4/7)
      FCR39汎用初期出荷データからマシンに合わせて少しずつ薄く(抜けがよいなら濃く)していくのが吉かと思います。

      • まっぴ より:

        39の初期値を元に考えながらやっていましたが現段階でMJ132 SJ35 AJは未確認0CEMS(6/7)で少し濃いくらいです。

        こんな番手低いのか?と思いもしやボディのシールが貼り替えられてるのかと思い刻印を確認しましたが(S10)の物でした。
        個体差はあるにしても番手がこんな違うのかって感じてます。

        • ユキシ より:

          針ポジが(針先を下に向けて)上から6番目の溝だとすると、ここが濃すぎる気がします。
          一旦3ないし4辺りで針を固定してスローを合わせてみては?その上で加速(開度2/8〜4/8で息継ぎ(パシュとかカスッとなる)や失火、失速感があれば針ポジを濃くするという流れで如何でしょう。
          吸排気に何を付けてるか分かりませんがおそらくmj150,sj50辺りで落ち着くと思います。

          • まっぴ より:

            ん??
            針先が下で上6段だと今のクリップ位置は薄いと思っておりましたが
            違うのですか??

          • ユキシ より:

            段数で伝えると混同するかもですね。
            イメージで伝えると
            クリップから先が短い=(例えば)半開度だとノズル全開=濃い
            クリップから先が長い=(例えば)半開度でもノズルに先が残って塞いでいる=薄い
            要は針が「短いと濃い」「長いと薄い」です。既にご理解頂いている内容であればご容赦ください。

  8. まっぴ より:

    こちらの説明不足でしたので申し訳ないです。
    ニードルに関しては上から2段目の位置と明記しなかったのですいませんでした。
    吸排気についてはどのようなことを説明すればよいでしょうか?
    重ね重ねの質問失礼します。

    • ユキシ より:

      直キャブならmj150,sj50ぐらい、エアクリ&純正マフなら先ほどの薄々仕様もアリなのかな(それにしても薄いね)というぐらいですね。やはり実機を見る聴くしないと無理かなと。残念ですがお伺いしても文字ではこれ以上お力になれそうもありません。申し訳ないです。

      • まっぴ より:

        個体差もありますし仰る通りかと思います。
        少しづつ時間あるときに煮詰めていきたいと思います。
        たくさんの回答ありがとうございました!

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